| [アジア為替市場] |
| 東アジア経済は、ここ10年間、平均7%強と、先進諸国をはるかに上回る高い成長率を実現し、世界の成長センターとして位置付けられています。今日に至る歴史を簡単に振り返ると、高度成長を遂げた日本に続き、韓国、台湾、香港、シンガポールといったNIEs諸国がまず先頭をきる形で、70年代後半から高成長を達成しました。80年代半ば頃からは、さらにASEAN諸国や中国も加わって、東アジア地域が全体として目覚しい経済成長を辿ることになります。80年代半ばというと、ちょうど、日本企業がグローバル化を大きく進めた時期と重なります。当時、急速に進行する円高や、米国等との貿易摩擦の激化への対応策として、多くの日本企業は、欧米やアジア地域への工場進出や海外直接投資を通じた海外事業戦略に活路を見出そうとしました。とくに日本企業のNIEs諸国での事業展開は、加工・組立拠点として現地の低廉で豊富な労働力を活用することで、生産コストを大幅に削減して、競争力の維持・向上を図ることが狙いでした。こうした日本企業の活動は、東アジアでの雇用を創出するとともに、東アジア地域の経済成長に大きく寄与したと言えます。90年代に入ってからは、欧米を含め世界各国が東アジアへの直接投資を増加させ、かつ海外企業の投資先もASEAN諸国、さらに中国へと裾野を広げてきました。業種的には、情報通信革命の進展とも相まって、情報関連企業の進出が目立ったのも特徴的です。その後、97、98年のアジア通貨危機に伴い、直接投資の勢いは一時鈍化しましたが、東アジア諸国の成長率が再び高まるにしたがって、足許でも高水準の直接投資が続いています。 |
最終的には、アジア諸国等は、安定的な通貨制度の導入につき検討することが適当になるでしょう。アジアにおける経済ファンダメンタルズが健全であるにもかかわらずアジア危機が発生した原因の一つとして、アジア各国通貨が米ドルにペッグされていたことが挙げられます。外国為替市場の安定性は、将来の危機の予防となるだけでなく、当地域における健全な経済成長のための重要な必要条件の一つでもあります。こうした考えは、現時点では非現実的なものに聞こえるかも知れませんが、相互協力の精神の下、このような理想的な目的に向かって緊密に取り組んでいくことは有益なのではないでしょうか。他方、短期的には、アジアにおける通貨支援のための地域的協力スキームにつき検討を進めていくのが適当なのではないかと私は考えております。今般の危機から学んだ重要な教訓は、危機においては何らかの地域的協力によりIMF融資を補完すべきであるということです。日本はこのため指導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
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